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共依存からぬけ出すには?


1 「共依存」ってなに?

〜 苦しんでいるあなたのために 〜

家族の中に薬物依存症者がいると、その人を「なんとかしよう」として家族はあらゆる手をつくします。懇願したり責めたり、薬を取り上げたり…。依存症者のおこす問題の尻拭いにも追われます。
けれどいくらがんばっても依存症者は薬をやめず、問題はどんどん進行し、あなたは今までとても苦しんできたはずです。
あなたの心の中には、こんな感情が渦巻いているのではありませんか?

<怒り>

あの人(薬物依存症者)はちっとも家族のことを考えず、自分のことしか考えていない。おかげで私はその分まで、家族の面倒を見なければならない。あの人の健康を心配したり、あの人のために周囲に言い訳したり、嘘をついたり、どうして私ばっかりこんな目にあわなければならないの!

<恥ずかしさ>

あの人が薬に溺れてまともにやれないことを知ったら、会社の人や、親戚や、近所の人達はどう思うだろう。いつあの人がみっともないことをするかわからないから、家に人を呼ぶことだって出来ない。

<孤独>

あの人のせいで私がこんなに辛い思いをしていることを、家族の誰もわかってくれない。親戚に何か言えば、どうせ私が悪者にされてしまう。心配を打ち明けられる友達もいないし、私は一人で耐えるしかない。

<自責感>

だけどもしも、私がもっといい妻だったら(いい親だったら、いい子だったら)、あの人はこんなことにならなかったかもしれない。あの人をちゃんと立直らせることができない私は、妻として(親として、子供として)失格なのではないだろうか。

<絶望>

何度約束してもあの人は薬物をやめないし、私がいくら言っても自分の責任を自覚する気配がない。ヤク中はどこまでいってもヤク中だし、自分勝手でだらしないのは変わりっこない。こんな不幸な生活がずっとこのまま続くのだ。


依存症者が「使うことで頭が一杯」になっているように、家族は「依存症者のことで頭が一杯」です。こうした家族のことを共依存といいます。
身近な人が問題を抱えているとき、「何とかしなくては」と思うのは自然なことです。けれども、何とかしようと、もがけばもがくほど家族はつらくなり、薬物問題も進行してしまうのです。


〜 一体何が起きているのでしょう 〜

@ 依存症者を支えているつもりが、実は「依存症という病気」を支えている

あなたが依存症者の失敗の尻拭いをしたり、彼(彼女)の分まで家族を守ってがんばっているかぎり、彼は使い続けることが出来ます。自分の責任をあなたが肩代わりしてくれるからです。
あなたが細々と世話をやいたり叱りつけたりしているかぎり、彼(彼女)は「うるさい!」と怒鳴って使い続けることが出来ます。あなたが自分を小さな子供のように扱ってくれるので、大人として自分に責任を持たずにカンシャクを起していればすむからです。

A 依存症者のことにとらわれて、自分のことに注意を向けなくなる

あなたの体は「つらい!」と悲鳴をあげていませんか?肩がコチコチに凝ったり、頭痛がしたりしませんか?ちゃんと眠れますか?のんびりする時間はありますか?
自分が何を感じているのか、何をしたいのかもわからなくなっていませんか?だとしたら、あなたは自分の姿が見えなくなるほど、相手の問題にとらわれているのです。

あなたが共依存から抜け出し、依存症という病気を支えることをやめれば、依存症者は使い続けることが苦しくなってきます。そして、治療につながるチャンスが訪れます。


2 「共依存」の背景

〜 子供時代を探ってみよう 〜

ここまで読んでみて「なるほど、そうか!」と納得した人も、中にはいるでしょう。洋服のボタンのかけ違いに気がついたようなものです。正しい場所さえわかれば、上から順にかけなおすことができます。
でも多くの人は「そんなことを言っても、この状況で他になにができるっていうの」と思ったはずです。できることはあります。それはあなた自身を変えることです。すると依存者をとりまく状況も変わります。
長年の生活で身につけた考え方や、行動のしかたを変えるのはかんたんなことではありません。小さい頃から共依存のパターンの中で生きてきたために、自分ではほとんど意識していない人もいるかもしれません。
あなたの小さい頃をふりかえってみてください。あなたが育った家庭のなかに、こんな〈ルール〉はありませんでしたか?

※ 問題について話し合うのはよくない

 たとえば両親の仲がうまくいっていないのに、二人がそのことをきちんと話し合っているのを見たことがない。
誰かが問題を持ち出すと、食卓には気まずい雰囲気がたちこめる。ある人は話をそらし、ある人はテレビに夢中のふりをし、ある人はそそくさと席を立ってしまう。

※ 感情を素直に出すのはよくない

あなたが無邪気にはしゃぐと「こんなときだから静かに」とたしなめられる。甘えようとする「今は○○なんだから」とはねつけられてしまう。
つらい気持ちをぶちまけると、「がまんしなさい」と怒られたり、親がもう片方の親を「あなたのせいでこの子が…」と責め立てる結果になり、誰もあなたの気持ちに注意を払ってくれない。

※ 相手を信頼してもいいことはない

「お母さん、こっちに来て」「お父さん、聞いて」といったちょっとした頼みごとが、いつも「忙しいから」と後回しにされる。約束をしても、裏切られてばかり。
両親も相手への期待をはっきり口にせず、皮肉を言ったり、怒鳴ったり、不機嫌に黙り込むことで言うことをきかせようとする。あるいはあなたをだしに使う。誰かにしてほしいことを言うと、それがかなえられる、という信頼関係が家庭の中にない。

※ 自分を大切にするのはよくない

「私は○○したいの!」と自分の立場を主張すると、「他の人のことも考えなさい」「うちは今、それどころじゃないのわかるでしょう」と叱られる。
自分勝手な子、わがままな子と言われないためには、自分のことはさておいてつねに周囲の状況をうかがい、困っている人はいないかと気を遣わなければならない。
※ リラックスしてはいけない
親に認められるためには、もっともっと努力をし、決して間違わず、完璧でなければならない。
「それぐらい、できなくたってどうってことはない」とか「間違ったってかまわない」とは誰も決して言ってくれないので、リラックスして気を抜くひまはない。

 こうした〈ルール〉は、親に飲酒の問題があったり、父親が仕事第一で家庭は二の次だったり、両親の間にいさかいが絶えなかったりなど、家庭が家庭として機能しにくい場合にしばしば家族を支配します。実際に、依存症者の妻には、親も依存症だったという人が少なくないのです。
この〈ルール〉のもとで育った子どもは、ありのままの自分を愛するのが苦手になってしまいます。だから「自分のため」ではなく「誰かのため」に一生懸命やることで、自分の存在を認めてもらいたいと思う。これが共依存の背景なのです。

あなたの今の暮らしも同じルールが支配していませんか?
あなたの子どもにこのルールを伝えていませんか?


3 「共依存」からの脱出

〜 あなたを変える行動のヒント 〜

 ルールを変えましょう。
 次の五つのメッセージを、心の中で繰り返してみてください。
● 問題について話し合うのはいいこと
● 感情を素直に表現するのはいいこと
● 相手を信頼するのはいいこと
● 自分を大切にするのはいいこと
● リラックスするのはいいこと
では、具体的にどうしたらよいのでしょうか。


@  助けを求める

 今まで問題を表沙汰にせず、「自分でなんとかしよう」とがんばってきたパターンをまず変えましょう。
依存症の専門病院や、地域の保健所など、薬物問題を理解してくれる専門家のもとに出かけることで、あなたはきっと楽になります。
もし依存症者の暴力に悩んでいるなら、安全な場所の確保が必要です。
あなたがすでに専門家の援助を受けているなら、依存症者のことをそうだんするだけでなく、あなた自身の苦しみを専門家に話してみてください。

A 仲間に出会う

病院の家族教室、保健所の家族教室、依存症者の家族の自助グループ「ナラノン」、「アラノン」各地のACグループなど、あなたを同じような体験をした家族が集まる場があります。そこに出かけてください。
あなたにはホッとできる場所、安心して感情を表現できる場所が必要です。仲間はあなたの苦しみに共感してくれるはずです。
仲間の話を聞くことで、今まで自分では見えにくかった自分のパターンも見えてきます。
もしも、仲間に会うとかえってつらくなるような気がしたら、あなたは疲れすぎているのかもしれません。専門家に相談して、必要なら治療やカウンセリングを受けてください。


B 依存症や共依存について知る

日本の社会には、「依存症者は意志が弱くてだらしない」という病気への偏見や、「耐えて夫につくすのがよい妻」という価値観が根強くあります。
家族教室や自助グループで依存症や共依存について勉強したり、専門家にすすめられた本を読むことは、あたなの役に立ちます。あなたを苦しめていたものの正体を知ることで、共依存から抜け出すのが楽になるのです。

C 自分を主語にして話す

「あの人は○○だ」とか「うちの子は○○だ」ではなく、「あの人が○○だと私はどうしてよいか分からなくてつらい」というように、「私」を主語にして話をしてみましょう。

D 自分のために何かをする

今まであなたは、一日の時間のほとんどを依存症者や他の家族のために占領されていました。自分のために時間を使ってみましょう。
たとえば美容院に行く。座っているだけで誰かが自分の世話をしてくれるのは、とても気持ちいいものです。
新しい服を買う。気分がぐっと引き立ちます。公園を散歩する、おいしいものを食べる、部屋で本を読んだりレコードを聴く、昔の友人に電話する、日帰り旅行をする、何もせずにボーッと過ごしてみる。いろいろありそうです。

そんなのムリ、できっこない、と思いましたか?今までのやり方を変えようとすると、抵抗を感じるのが普通です。だからこそ、一人ではなく仲間が必要なのです。
これはわくわくするチャレンジです。小さな変化を積み重ねていくうちに、あなたはきっと自分を変えることが楽しくなっていきます。